
ある所に、貧乏な女の子とお母さんが住んでいました。

ある日のこと、家にはもう食べるものが何もなくなってしまいました。

女の子はおかあさんに頼まれ、森へ食べ物を探しにいきました。

すると、おばあさんが現れて言いました。
「おや、こんな森に1人で来るなんてどうしたんだい?」
女の子は言います。
「食べるものが何もないので探しにきました」

「おや、小さいのに感心だねえ。じゃあ、お前さんにいいものをあげよう」
そう言っておばあさんは、女の子にふるぼけたおなべをくれました。

それは、とても不思議なお鍋でした。
お鍋にむかって 「ぽんぽんぽっぷこーん」と唱えると、アツアツのぽっぷこーんがどんどん出てきて、
「もういらない」と唱えると、ポップコーンは止まります。

おかげで、お母さんと女の子がお腹が空いて困ることはなくなりました。

ある日、女の子が出かけた後で、お母さんはポップコーンが食べたくなりました。
そこで女の子の真似をして、「ぽんぽんぽっぷこーん」と唱えました。

すると、あっという間におナベはポップコーンでいっぱい。
しかし、お母さんはお鍋の止め方を知りません。
ポップコーンはどんどん出来あがり、お鍋からこぼれだしました。

やがてポップコーンは台所から溢れ、家中をポップコーンだらけにしてしまいました。
それでも ポップコーンはとまりません。

とうとう 町中がポップコーンだらけになり、町の人たちも大量のポップコーンに驚いています。

困り果てたお母さんがとっさに「もういらない!」と叫ぶと、ポップコーンは止まりました。

町の人たちは、町じゅうにあふれているポップコーンを少しずつ食べながら、自分の家へ帰りました。

やがて、何も知らない女の子が帰ってきて「ポップコーンを食べよう!」とお母さんに言いましたが、
お母さんは「もういらない!」と慌てて家を飛び出していったとさ。
おしまい
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